
水野南北先生は、江戸時代中期に活躍していた観相家で、日本の人相・手相占いの元祖とされている運命学者で、「浪速の相聖」と謳われ、「日本相法の中祖」と敬称されています。
水野南北先生の著書『南北相法』は占い師のバイブルであり、 占い師を目指す者は必ず読む必要があるとされている本です。
水野南北先生は、主食は麦飯で、一日に麦一合五勺と決め、副食は一汁一菜で、米や餅を一切口にせず、お酒は一日一合までとし、生涯粗食で過ごされていたそうです。
水野南北先生は、食の慎しみ方で人相と運命が変わると強調しています。 人を占う場合は、必ずその人の食事の内容を詳細に聞いていたそうです。
少食にすれば腸相が良くなります。
腸相が良くなれば人相が良くなります。
人相が良くなれば運命が好転します。
水野南北先生の人相と食事の関連を見抜いた慧眼には感心させられます。
善相で良運で健康的でも、美味贅沢や淫色肉食をしていれば、次第に貧窮短命となります。
悪相で凶運で病弱でも、一飯一菜を心掛けて節食していれば、次第に富貴延命となります。
世間にはあらゆる成功哲学や自己啓発が溢れていますが、人間の運命の根底にあるのは食の節制です。
食を厳しく節制する事によって、健康、立身、出世、蓄財、幸福、長寿のすべて得られるのです。
仏教には「不殺生」という教えがありますし、 旧約聖書には「汝殺すなかれ」という言葉があります。 東洋哲学では、人間が沢山食べると、間違いなく罰が当たるという思想があります。 食べるという事は、他の動物や植物の命を奪うという事です。 つまり、沢山食べる人は沢山の命を奪っているという事です。 自然界には、必要以上に食べ過ぎる事には罰が与えられるという仕組みが存在しています。 それが食べ過ぎる人には病気や早死にがもたらされるという事ではないかと考えられます。
私も若い頃カーネギーの信念の魔術、成功哲学など読みましたが、食で運命を変えるというのは初めてです。人間の寿命が尽きるのは一生のうちに食べる量が決まっていて、その量に達した時に起きるという説もありますが、友人知人の内で早死にしたのは確かに肥満体でしたね。
今年になってから、星野仙一、衣笠祥雄と有名野球人が鬼籍に入られたが、昭和が無くなっていくような気がして寂しくなります。
30年 6月 10日 院長 藤田 泰志